日曜日のお昼、某テレビ局で放送されていた小学生合唱のコンクール。
コレがHCU内に響き渡っていた。
私は最初、ヒーリングミュージック代わりにでも流しているのだと思っていた。
すると隣かその隣のお爺さんが
「テレビがうるさい」
と一言。
看護師が奥のカーテン の先にいる患者へテレビのボリュームを下げるようお願いすると大声で叫ぶ。
「だって!この音量で聴いてないと泣きそうなんだもん!!!」
静まりかえるHCU内。
思わず呟く私。
「なんで?」
目の前にいた看護師さん
「ずっと泣いてる。おうちに帰りたいって」
彼女は声が大きく、泣きながら叫ぶように話すから内容が丸聞こえ。
つか、いつからいた?全然気付かなかったんだけど。これだけ大声だと気付かないわけが…
と思ったが、恐らくそれは私の意識レベルが低かったせいかな。
彼女、数日後に他の病院へ転院が決まってるそうで。
病院間の入院患者の転院って、出る日と入る日が同日で時間指定もあるから、一度自宅に寄れるところに病院があるなら帰れるだろうけど、基本は直行らしい。
でも彼女は入院してから毎日何度も
家に電話したい
と懇願、HCU内はスマホの持ち込み禁止だから、病棟の電話を借りるわけだけど、回線を潰しちゃうので短時間しか貸してもらえない。電話の後は泣きながら
帰りたい
と訴え、とうとう最後は見舞い客禁止を破り母親と対面で号泣しながら
「帰りたい、帰りたい、帰りたい」
を連呼。
見てる側、みんな帰りたい。みんな家族に会いたい、みんなみんな辛い。
一通り喋った後は名残り惜しそうだったけどお母さんと引き離された。
この後、暴力爺さんやへぼ病院ばあさんやら、深夜アニメを見る人やらの最悪な夜を迎える。お腹いっぱいな日だった。
ちなみに、彼女は翌日朝、超ハイテンションで
「転院の前日に退院させてもらおう!」
計画を企てるが、PCR検査をギリギリにクリアしなきゃ転院先が受け入れないとか色々言われて号泣。
「なんで帰りたいの?」
と昼の看護師から聞かれた答えは
「親だと必要なものがわからないから」
夜勤帯の看護師には
「親と入院前に美味しい食事をしたいから」
答えが違うやんけぇーーー!!!
しかしだね。この女性、入院して48時間後のPCR検査で
「絶対ヤダ!!」
と朝っぱらから大騒ぎして、結果自分で自ら棒を鼻に突っ込んだそうで。すごいね。ある意味勇者やね。
検査結果がどう出たかは、その日に一般病棟へ移動した私にはわからない。
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